お知らせ

五味洋治のページです。主に韓国での北朝鮮関連報道を訳していますが、日本語で紹介されない記事を私の目でセレクトしています。私の執筆活動、経歴についても掲載しています。最近のお勧めは、北朝鮮の軍事関連報道です。日本のメディアが伝えていない細かなものまで拾っています。私がかつてここに書いた金正恩の性格分析は今も十分通用します。筆者へのご連絡はこちらをクリックしてください。コメントは実名以外受け付けません。

2016年3月30日水曜日

金正恩の暗殺を扱った論文に関心

http://blogs.piie.com/nk/?p=14928

ゆっくり訳してみます。

日本語でのレポートも出ています。

http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/46452

2016年3月29日火曜日

偽造パスポート・飲酒運転・密輸摘発…北前・現職外交官醜態


北外交官強制追放の便りに過去醜態再照明…密輸して追い出されて飲酒運転殺人まで
2016.03.25 14:07:29
F

‘自由アジア放送(RFA)’は去る23日(現地時間)、タンザニア政府が前職北朝鮮外交官を強制追放したと報道した。
疑惑を‘外交官旅券偽造’であった。

‘自由アジア放送’によれば、カンシングク(58)という駐タンザニア北朝鮮大使館前職職員がさる2月23日現地空港で移民国捜査官に逮捕されたという。
‘外交官旅券’を偽造した後、不法出入国および不法事業を繰り広げた疑惑であった。

タンザニア政府はカン氏を調べた後、強制追放および永久入国禁止措置を下したという。
タンザニア政府の調査によれば、カン氏は1997年から2001年まで駐タンザニア北朝鮮大使館で勤務をしたのに、以後にも4度にかけてそれぞれ違った名前、生年月日が記載された偽造パスポートでタンザニアを出入りしたということだ。

タンザニア政府に検挙される当時カン氏は自身を事業家と主張したが、根拠を提示できなかったし、現地北朝鮮大使館もまたそれに対して、身元証明をしなかったという。

‘自由アジア放送’側は消息筋を引用、“カン氏がタンザニアで勤める時、経済参事官身分でタンザニア、ザンビア、南ア共和国を回りながら、象象牙密輸、麻薬密売、不法武器運送などの不法行為を日常行った”と伝えた。

このような不法事業を通して、金正日に数百万ドルを送り、2000年には‘努力英雄’称号を受けたりもしたということだ。

カン氏が‘外交官旅券’まで偽造して、不法出入国と不法事業を行って強制追放された便りが知らされて、国内ではその間あった北朝鮮外交官たちの醜態がまた注目をあびている。

さる2月7日、中丹東では‘ヨム・チョルジュン’という北朝鮮外交官が北朝鮮長距離ミサイルを祝うパーティーを繰り広げた後、飲酒運転をして中国人3人を亡くなるようにした事件が起きて論議になった。

当時‘ヨム・チョルジュン’は飲酒運転をしながら追い越しをしようと無理に中央線を越えて向かい側で駆け付けたタクシーと正面衝突したという。

事故以後中公安当局はヨム氏に刑事処罰と別途に150万中国元(韓貨約2億 8、000万ウォン)を被害者らに賠償しろとの命令を下したし、結局には北朝鮮当局が賠償をしたという。
中現地言論らは“事故当時ヨム氏の車両は保険加入もされていなかった”と前年現地住民たちはヨム氏はもちろん北朝鮮外交官たちに対して強い反感を持つようになったという噂だ。

2015年12月23日には南アフリカ共和国が北朝鮮外交官を強制追放した。
全世界的に取り引きが禁止されたサイの角を秘密取り引きして摘発されたのだ。

2015年5月南ア共和国当局に捕まった北朝鮮外交官たちは隣接国モザンビークでサイ角を秘密取り引きしたという。

2015年10月18日(現地時間)にはブラジル政府が北朝鮮外交官を強制追放した。
9月27日パナマを離れて、ブラジル、サンパウロ空港で入国してキューバ産葉巻を密輸したことが摘発されたのだ。
当時ブラジル税関当局は北朝鮮外交官が3、800本の葉巻をこっそりと持ってこようとしたと明らかにした。

2015年3月5日(現地時間)にはバングラデシュ ダッカ空港で入国した北朝鮮外交官たちが現地税関に捕まった。

何と27kgの金塊を密搬入しようとしたが摘発されたという。
北朝鮮外交官たちはすぐ解放されたが、金塊は全部押収された。
このような北朝鮮外交官たちの形態はキム・ジョンウン集団が誰何らに命令する‘外貨稼ぎ’が実は大部分国際的に禁止している‘犯罪’という点を見せる。

また北朝鮮が外交官で海外に派遣する彼らの中で多数が実際には外交行為とは関係ない、‘外貨稼ぎ働き手’という点も知ることが出来る。

現在国連安保理対北朝鮮制裁と韓国、米国、日本などの読者対北朝鮮制裁は北朝鮮の核兵器と長距離ミサイル、北朝鮮住民人権などの問題にだけ集中しているのに、これと別個で北朝鮮政権をテロ組織と同じ‘犯罪集団’と規定して、国連会員国らが北朝鮮政権関係者の海外活動を集中的に監視しなければならないという意見が力を得る背景だ。

2016年3月25日金曜日

北住民“北脱出のはしりは金日成一家”

国を逃げ出す人がいて、それを抑えようとしているということ自体、恥ずかしいことでしょう。

http://www.rfa.org/korean/in_focus/ne-je-03242016093558.html

ソウル-キム・ジウンxallsl@rfa.org
2016-03-24

アンカー:北朝鮮が住民たちの北脱出を防ぐためにあらゆる手段と方法を動員しているけれど住民たちは繰り返し北脱出を試みていると分かりました。
北朝鮮内部の便りキム・ジウン記者がお送りします。

70日戦闘が真っ最中進行中の北朝鮮で住民たちが北脱出を試みるのは正当な権利であることを主張する流言飛語らが流行しているという便りです。
住民たちの北脱出を金日成,金正淑など金正恩一家の過去行跡に対し遠回しに言って,正当化する言葉らが公然と回っているということです。

北朝鮮が国境監視を大幅強化していつも住民たちに北脱出防止講演を繰り広げているけれど住民たちは金正恩の曽祖父の金亨稷(キムヒョンジク)と祖父金日成の過去行跡を見習って,北朝鮮を抜け出してこそ大きい人物になることができるとし,当局の北脱出者取り締まりを皮肉ると現地消息筋らは伝えています。

23日咸鏡北道会寧市の一消息筋は“最近町役場で北脱出防止のための講演が進行された”としながら“当局が国境沿線に三角錐もようの鉄条網を敷いておいたのに北脱出試みが続いて,住民教養に出たこと”と自由アジア放送に明らかにしました。

消息筋は“氷がとけて春がくれば住民たちの北脱出がもっと増えること”としながら“北脱出者を発見直ちに射殺しろと指示する程国境取り締まりが強化されたが北脱出だけが生きる道だと信じている住民たちの行列を防ぐことは難しいこと”と言及しました。

それと共に消息筋は“昨年12月にも家族単位の川越えが数件発生したのにそのうち娘三に軍隊間息子まで家族みんなが一度に川を越えた事件もあった”と話しました。

家族単位の北脱出で周辺国境警備隊と司法当局が北脱出ほう助疑惑を受けて,中央検閲団の検閲を受けるなど一度騒動を体験したと消息筋は指摘しました。

消息筋はまた党で‘北脱出が祖国に対する背信行為’と強調するほど住民たちは‘偉人の第一歩は北脱出で始まった’としてコソコソ言っているということです。

この話は過去金正恩の曽祖父某人金亨稷と康盤石,祖父母の金日成とキム・ジョンスクも状況が難しくなって,北朝鮮を離れて,中国に行って重要な軸を用意した歴史的事実を指摘することだと消息筋は説明しました。

住民たちは‘状況が意に添わなくて,国を離れて,生きる道を探した北脱出者の始祖はキム・ジョンウン一家’として昔でも今でも国暮らしむきが苦しくて,生きる道を探して離れるのがなぜ罪がなるのかと抗弁していると消息筋は伝えました。

これと関連して会寧市のまた他の消息筋は“去る3月8日中央女性同盟で3.8 ‘国際婦女節’を名節で祝うことを指示した”として“指示により女性同盟の地球初級団体が自体で食糧とお金を集めて,3.8節を送った”と22日自由アジア放送に言及しました。

消息筋は“3.8節を記念するために集まった女性らが初めには順調な時間を送ったが酒を飲みながら,順次酔いが上がって,各々中国に行くと騒動を働かせて,司法当局が調査を始めた”と話しました。

この日酒の席に集まった女性らは地区の女性同盟に所属したある町内の女性らだと付け加えました。

消息筋はその日泥酔状態で中国に行くと騒いだ女性らは司法当局の調査で過去金日成主席が北朝鮮を離れた例をあげながら,金主席の模範に従わなければならないと話したことだけだと主張していて処罰に困難があると見られると強調しました。

2016年3月19日土曜日

国連より強く…”米対北制裁大統領行政命令発動

米国の対北朝鮮制裁、さすがに北朝鮮の弱点を研究している節がみえる。

https://www.newdaily.co.kr/news/article.html?no=304996

行政命令はここをクリック


米ホワイトハウスは去る16日(現地時間)バラク オバマ大統領が署名した、対北朝鮮制裁行政命令を公開した。

2日(現地時間)国連安全保障理事会で全員一致で通過した‘対北朝鮮制裁決議案第2270号’という20年以来最も強力な制裁案とは一つ安保理常任理事国の中共産党とロシア、アフリカなどの第3世界国家のために“隙間が多い”という評価を受けている。

このような世論が広がって、米政府が大統領行政命令(Executive Order)でその‘隙間’を防ぐ作業に乗り出した。

米ホワイトハウスは16日(現地時間)ホームページにバラク オバマ大統領が去る15日署名した対北朝鮮制裁関連行政命令内容を公開した。

この行政命令は‘北朝鮮当局および労働党の海外資産凍結および対北朝鮮取り引き中断’という長い副題を持っている。

バラク オバマ大統領が署名した今回の行政命令は2008年6月の13466号、2010年8月の13551号、2011年4月の13570号、2015年1月の13687号に続く五番目対北朝鮮制裁行政命令だ。

米ホワイトハウスが公開した行政命令は皆13セクションでされている。

これを調べれば、国連安保理対北朝鮮制裁決議案2270号を補強して、2月通過した対北朝鮮制裁法案を実行する側面が強くみえる。

今回の行政命令には北朝鮮との鉱物取り引き、人権侵害およびサイバー攻撃、北朝鮮住民人権弾圧などに対する包括的禁止条項が含まれている。

また北朝鮮と取り引きした第三国の企業、金融機関、団体、個人に対しても制裁できる‘セカンダリーボイコット’条項も含めた。

今回の行政命令の核心は北朝鮮金正恩集団と労働党の海外資産凍結および金融取り引きを完全遮断するという意志だ。

対北朝鮮制裁決議案2270号でも抜けた、北朝鮮勤労者の海外派遣も制裁対象に含まれた。

すなわちこれから海外に派遣された北朝鮮勤労者を使う企業または個人は米政府から制裁を受けるようになるという意だ。

したがってロシア、中国、中東など世界40ケ余り国で‘外貨稼ぎ’名目で苦しめられている、最大10万人に達する北朝鮮勤労者らは遠からず故郷へ帰るようになるものと見られる。

また米政府が北朝鮮金正恩集団と労働党の海外資産を米政府が凍結することができるようにしたし、国務省と財務部間協議を通して、北朝鮮の不法活動を助ける誰でも制裁することができるようにした。

運送、鉱業、エネルギー、金融分野で北朝鮮のために仕事をする個人の資産にも制裁を加えられるようにした。
すなわち、これは今後米政府が行政命令をどのように執行するかに掛かっていたが、米国で活動する‘親北勢力’また制裁対象になる可能性があることを意味することなので目を引く。

これと共に北朝鮮とIT関連ソフトウェアに関する取り引きをすることができないように制裁対象に含めたし、北朝鮮当局のサイバー攻撃または国内検閲と関連しても包括的制裁を加えられるようにした。

国連安保理対北朝鮮制裁2270号では抜けた北朝鮮金氏一家も制裁対象に含まれた。

金正恩の妹金与正が副部長である労働党宣伝煽動部関係者が制裁対象名簿に上がったし、シリアで活動中である国家安全保衛部所属チョ・ヨンチョル、エジプトにあるリ・ウォンホ等も制裁対象になった。

北朝鮮海運会社らと一心国際銀行、高麗技術貿易センターなど団体15ケ所、船舶20隻も追加制裁対象名簿に上がった。

今回の行政命令に‘セカンダリーボイコット’と‘包括的制裁’を規定する項目が含まれることによって、今後北朝鮮金正恩集団の外貨稼ぎ事業や対外協力はより一層難しくなるという展望が支配的だ。

2016年3月15日火曜日

北朝鮮の新しい外貨稼ぎ 銅像ビジネス

http://www.voanews.com/section/asia/2205.html

月曜日主要ニュースの背景を調べる‘ニュース インサイド’です。
北朝鮮の4次核実験と長距離ロケット発射以後国際社会は北朝鮮に流れて行く外貨遮断に積極的に進んでいます。

北朝鮮の大量殺傷武器開発に使われているという判断のためですが,この時間は北朝鮮の外貨稼ぎ実態を調べてみます。
チョ・サンジン記者の報道です。

英国の'BBC'放送はさる2月16日“北朝鮮の万寿台製作社が製作する銅像が安い製作費と巨大な大きさでアフリカ国家らの間で大人気を呼んでいる”と報道しました。

[録音:BBCニュース リポート]
海外での銅像など建築物製作が北朝鮮の主要外貨収入源になっているということです

北朝鮮は最近10年間銅像建立を通して,アフリカだけで1億 6千万ドルが越える外貨を稼いだと'BBC'は推定しました。

アフリカ地域で北朝鮮の外貨稼ぎは万寿台製作社の海外事業を担当する万寿台海外開発会社(MOP)を通じてなされると分かりました。

去る2010年アフリカ,セネガル首都ダカールに約49メートル高さの‘アフリカ ルネサンス記念像’が立てられた以後ナミビア,ジンバブエ,アンゴラ,ペネン,にピオ相互など大部分のアフリカ国家らは万寿台製作社に銅像と記念館製作を任せています。

万寿台製作社は昨年12月にはカンボジア アンコール・ワットにパノラマ博物館を完工しました。

万寿台製作社は2011年から工事を始めて,昨年仕上げされたこの博物館の概念と設計はもちろん資本まで担当しました。

特に目を引くのは北朝鮮がこの博物館建設費用1千万ドルを直接投資して,その代わり今後10年間運営権を確保したのです。

万寿台製作社は1人当り15ドルの入場料収入と喫茶店,記念品売り場などから出る収益を期待したと知らされました。

北朝鮮のエリート芸術家団体の万寿台製作社は1959年設立されて,1千余人の北朝鮮最高美術家をはじめとして,職員数が4千人が越えると分かりました。

労働者海外送出も北朝鮮の外貨稼ぎで重要な一つの軸を受け持っています。

北朝鮮は現在全世界40ケ余り国に10万人に近い労働者を派遣して,外貨を儲けらになっていると分かりました。

北朝鮮労働者らは大部分ロシアと中国など北朝鮮と修交を結んだ16ケ国に集中派遣されていて林業や建設現場,工場,食堂などで勤めています。

[録音:北脱出勤労者] “最も大変だったことは月給を受けられなかったとのこと,1ヶ月の間仕事をしても月給を与えなくて尋ねました,すると会社資金事情がタップリ分できなくて,与えられない..”

海外現場に派遣されて仕事をした北脱出者壬日氏は国際人権会の証言を通して,クウェートで派遣勤労者で仕事をする当時北朝鮮当局が月給を皆絞り取っていったと話しました。

実際に北朝鮮の海外派遣労働者らは月平均約1千ドルの給与で8~900ドルを忠誠金名目で北朝鮮で送金して,北朝鮮はこれを通じて,毎年30億ドルが越える外貨を稼ぐと分かりました。

北朝鮮当局のこういう形態は明白な人権侵害と韓国の民間団体の北朝鮮の人権情報センターイ・スンジュ研究委員は指摘しました。

[録音:イ・スンジュ研究委員] “北朝鮮労働者らは海外で強制された労働と賃金搾取,奴隷水準の労働を強要受けるようになるんですが,こういう行為は明白な人権侵害と見なければならないでしょう。”

海外親戚の送金も相当額に達しながら,特に北朝鮮に知り合いをおいた日本人60万人が中国を通して,北朝鮮に送る送金が少なくない規模だと知らされました。

このために日本は最近美化870ドル以上の金額の対北朝鮮送金を遮断する内容の独自の対北朝鮮制裁措置を確定したりもしました。
菅日本官房長官の記者会見内容です。
[録音:菅官房長官]
北朝鮮は観光事業を通しても外貨を稼いでいます。
過去北朝鮮は韓国との金剛山観光事業を通して,大きい収入を上げたし,金剛山観光が中断された2008年以後には中国人観光客誘致に精魂を込めています。

専門家たちは北朝鮮が去る2014年に中国を含んで,全世界観光客誘致を通して得た外貨収入(輸入)が3千~4千400万ドルに達すると推定しています

2016年3月2日水曜日

12.28「合意」への評価と限界


ある会合で話した内容です。


12.28「合意」への評価と限界
2016226日 東京新聞 五味洋治

 評価

いわゆる慰安婦問題についての合意[1]が昨年末にまとまった。合意のおかげで日本の中の嫌韓感情が落ち着きを見せるなど一定の効果を挙げたことを評価したい。この問題をめぐる両国の和解という点では、全く進んでいない。「政治的妥協」と言っていい内容であり、当事者の納得も十分ではない。

 過去の謝罪
かんこくに向けられたものは決して多くない。

1965年 椎名悦三郎外相 「不幸な期間があったことはまことに遺憾な次第でありまして、深く反省するものであります」
1990年代 慰安婦問題が韓国で問題化
199218日 挺対協が日本大使館前で水曜デモ開始
199384日 河野洋平官房長官談話 「当時の軍の関与の下に、多数の女性の名誉と尊厳を深く傷つけた問題」。元「慰安婦」の方々に「心からお詫びと反省の気持ちを申し上げる」表明
1995815日 村山富市首相談話 「植民地支配」に「痛切な反省」と「お詫び」
同年 「アジア女性基金」設立、約60人に500万円支給 政府予算も投入。歴代首相がお詫びの文書[2]
1998108 金大中大統領と小渕恵三首相が日韓パートナー宣言[3]
20118月 韓国の憲法裁判所が元慰安婦の賠償問題で、韓国政府の取り組みが「不十分」
同年12月 ソウルの日本大使館前に少女像設置 野田首相が撤去要求 李明博大統領は「誠意ある措置なければ第2、第3の像ができる」


 朴政権発足以降の日韓関係

問題をこじらせたのは、韓国側のかたくなな姿勢、日本の世論の読み違い。日本側の韓国の国内外事情への理解の浅さも。[4]

例えば韓国の経済的発展、中国との関係強化の動き、朴大統領の北朝鮮問題への意欲、安倍首相の歴史観への疑い

2013
225日 麻生太郎副総理が朴槿恵大統領と会見。麻生氏が、日韓関係を南北戦争にたとえ険悪なムードに
617日 朴大統領が日本より中国訪問。
2014
8月 産経新聞の加藤支局長をインターネットに掲載したコラムで在宅起訴
2015
6月    明治日本の産業遺産革命の世界遺産申請で韓国が反発
1228日 日韓が慰安婦問題で合意
1230日 韓国挺身隊門痔開協議会が合意批判、少女像増設宣言
2016
17日  安倍、朴電話会談 慰安婦合意の重要性確認
112日 安倍首相「少女像移転されると理解」(衆院予算委員会の答弁)
113日 朴大統領「少女像は政府がどうこう言える問題ではない」(記者会見で)[5]
122日 安倍首相 「韓国は戦略的利益を共有する最も重要な隣国」と表現(施政方針演説)
126日 自民党外交部会が「少女像の想起撤去」求める決議
22日  韓国外務省報道官 「慰安婦合意非常に重要」
24  「元慰安婦21人中16人が合意に肯定的」と韓国外務省
27日  韓国国防相が、日本との軍事情報保全協定締結検討表明
216日 杉山信輔外務審議官が、慰安婦に「日本政府の調査で強制性を証明する証拠見つからず」
413日 韓国総選挙

財団設立?少女像の移転?
  
     合意の背景

米国からのプレッシャー
北朝鮮の挑発の動き、中国の台頭で日韓協力の必要性拡大
双方の国民からの進展希望
日韓国交正常化50年の節目を生かしたいという両国首脳の考え

     経過

1228日の電撃合意

ソウルの日本大使館では、最後まで合意できるか分からなかった。
韓国側は担当記者へのブリーフをしていた。その内容は、あの安倍氏が謝罪した。成果だ。
日本側は「最終的」に決着したいと申し入れ、韓国側が不可逆的という表現を入れた。
少女像について、ユンミヒャン氏は、もう私の手を離れたと話すなど冷静だった。しかし一連の日本からの報道で姿勢を変えた。
韓国外務省の当局者は、事前に元慰安婦を訪問して、合意の内容について説明していた。
合意文書作りは韓国側の要請で、最終的に保留された

     論点

評価については賛否両論が出ている。今回は安倍政権の支持者の中で特に意見が割れている。合意を見直すよう求める集会が相次いでいる。

27日には、「張れ日本!全国行動委員会」集会。
水嶋悟る幹事長は「河野談話と比較にならないほど国家的な重大な過失だ」、中山恭子「日本が獣のような残酷な国だとみられないようにしなければならない」

10日にも保守派の評論家が批判の集会を開いた。
その中の1人、拓殖大学客員教授の藤岡信勝氏は「世界中の人が慰安婦=性奴隷説を信じ込まされ、浸透している。だが、日本政府は事実に基づく反論をしてこなかった。しかも、反論しないだけでなく、外務省は反論させようとしない」。[6]

不満論を見ると、

1)安倍首相が元々、この問題について言っていたことと今回の合意が矛盾する
 2007年に河野談話否定発言をしているのに、米国の圧力で認めた
2)1965 年日韓基本条約・請求権協定で「すべて解決済み」なのに、合意する必要はなかった
3)合意が文書化されなかったので、効力に疑いがある
4)問題への旧日本軍の関与を認めた
5)首相がお詫びの意向を表明した
6)再び韓国側が問題を蒸し返すに違いない
7)慰安婦は性奴隷、強制があったとの誤解解けず。日本人の名誉回復ができていない

 逆に評価する意見の中を拾ってみる
1)安倍首相への「歴史修正主義」の批判がこれで消える
2)韓国が日本と合意したことで、中国と韓国が歴史問題で共闘を組めなくなった
3)北朝鮮問題で連携しやすくなった
4)歴史問題で日本が反論する機会になる
5)法的責任をあいまいにした[7]

一方、慰安婦問題を積極的に取り上げてきた識者らからはこのような批判が出ている。[8]

1)   責任の所在があいまいなままで、河野談話より内容的に後退
2)   性奴隷だったことを否定
3)   賠償を行わないと宣言
4)   日本政府関係者は、被害者を訪問してお詫びを伝えるべきだ

評価する意見としては

1)合意は不十分だが、これを土台にして市民同士が和解を進める努力を


     なぜ安倍首相は合意したか

米国からの要請。国内からの批判。
解散戦略もからんでいるのではないか?
外交政策での批判要素を消す狙い。
2014年11月21日解散を表明した際の状況と似ている。
小渕優子経産相、松島法相スキャンダルが相次いだ。支持率は高い。しかし国民的論議になりそうな外交安全保障を争点からはずしたい。11月10日に3年ぶりの日中首脳会談が実現した。「争点」がなくなった。解散を決意する。
日中首脳会談実現。焦点はアベノミクスに絞られた。

今回も参院選、もしくは衆参同日選を念頭に置いていた可能性がある。

 合意の成果と懸念

私は、今回の合意について、合意した事自体、歓迎はしたい。合意がなければ、日本と韓国の国民レベルの感情はますます対立していたはずだ。日本の中の韓国に対する感情は落ち着きを見せつつある[9]。外交的には、ぎりぎりのタイミングで滑り込んだと思う。賛否は日韓で拮抗している。
韓国では若い人ほど今回の合意に批判的だ。


民間調査会社の韓国ギャラップが8日にまとめた韓国での世論調査。旧日本軍の従軍慰安婦を巡る日韓合意について「評価しない」が54%となり、「評価する」26%の2倍以上になった。否定的な回答の理由では元慰安婦の意見を聞いていないとの指摘が最も多かった。
再協議すべきは58%で、必要ない28%を上回った。ソウルの日本大使館前に設置された従軍慰安婦を象徴する少女像については「合意内容を日本が履行するかどうかに関係なく移転すべきでない」が72%に達した。「日本が履行すれば移転してもよい」は17%だった。

ただし、特に安倍首相の慰安婦問題に関する認識は変わっておらず、本当の狙いは選挙対策だったとの疑念もある。自分の支持層からの反発を意識して、国際的に日本の正当性をアピールし、新たな摩擦を呼ぶ懸念も残っている。
すでに、 日本政府は慰安婦に強制性はなく[10]、性奴隷ではなかった[11]と国際舞台で発言している。


1965年の日韓国交正常化でも、同じような構図があった。日本側は、植民地支配の合法性をめぐって立場を譲らず、日韓併合条約調印の1910年8月22日以前に結ばれた条約・協定について「もはや無効」とし、「朝鮮において韓国が唯一の合法的な政府」と確認し合った。こういった原則論を譲らなかったことで、相手側に精神的な不満足感を残し、問題がくすぶる結果となった。

他国でもやっていたとか、誤解が残っているという主張は言い訳にしかきこえない。1965年当時と違い、慰安婦問題は米国を舞台にしたロビー合戦に発展し、女性の人権問題という新たな角度から焦点が当たっている。
事実を受け入れたうえで、合意を実現するために努力すべきだろう。
その手がかりは韓国が設置する財団にあると考える。韓国の外交当局者から聞こえてくる話では、財団は単にお金を運営して、その果実を被害者に送るものではなく、研究機関としての機能を持たせるという。
正式な発足は4月以降となりそうだが、慰安婦問題をめぐる対立を少しでも緩和できるような活動を、この財団をベースにやれる可能性がある。




[1] 1)慰安婦問題の最終的かつ不可逆的な解決を確認する。(2)軍の関与の下、多数の女性の名誉と尊厳を傷つけた問題として日本政府は責任を痛感する。安倍内閣総理大臣は心からのお詫びの気持ちを表明する。(3)元慰安婦を支援するため、韓国政府が財団を設立し、日本政府が10億円程度の資金を一括拠出する。(4)両国政府は今後、国連など国際社会で本問題について互いに非難、批判することは控える。(5)少女像については、韓国政府が関連団体との協議を通じ解決に努力する。

[2] 私は、日本国の内閣総理大臣として改めて、いわゆる従軍慰安婦として数多の苦痛を経験され、心身にわたり癒しがたい傷を負われたすべての方々に対し、心からおわびと反省の気持ちを申し上げます。www.mofa.go.jp/mofaj/area/taisen/letter.html

[3] 「小渕総理大臣は、今世紀の日韓両国関係を回顧し、我が国が過去の一時期韓国国民に対し植民地支配により多大の損害と苦痛を与えたという歴史的事実を謙虚に受けとめ、これに対し、痛切な反省と心からのお詫びを述べた。
金大中大統領は、かかる小渕総理大臣の歴史認識の表明を真摯に受けとめ、これを評価すると同時に、両国が過去の不幸な歴史を乗り越えて和解と善隣友好協力に基づいた未来志向的な関係を発展させるためにお互いに努力することが時代の要請である旨表明した」
[4] 同じ民主主義国で共に米国の同盟国という共通の「価値観」によって関係改善が可能だと判断していた。ところが感情のボタンの掛け違いが、両首脳を遠ざけることになる。「安倍官邸vs習近平」読売新聞政治部編224p(新潮社)
[5] 慰安婦問題で朴大統領は 1.日韓合意が履行されることで、被害者の名誉と尊厳の回復を図る。2.合意に旧日本軍の関与と日本政府の公式謝罪など被害者の願いを反映、3.日韓の信頼重要 4.100%満足ではないが、最善を尽くした。
[6] http://www.france10.tv/social/5552/
[7] WILL 20162月号 正論2月号など
[8] 世界 2月号など
[9] 時事通信社が行った2月の世論調査(11?14日実施)によると、「嫌いな国」(複数回答)に韓国を選んだ人は前月調査から51ポイント減の386%。138月から40?50%台が続いており、30%台に下がったのは27カ月ぶりという。調査結果について、同社は「昨年12月の慰安婦問題をめぐる日韓合意を契機に、核実験や長距離弾道ミサイル試射を強行した北朝鮮への対応など政府間の協力を強めていることが影響したもようだ」と分析。

[10] 国連人権委員会での杉山晋輔外務審議官発言 まず書面でも回答したとおり、日本政府は日韓間で慰安婦問題が政治・外交問題化した1990年代初頭以降、慰安婦問題に関する本格的な事実調査を行いました。しかしながら日本政府が発見した資料の中には軍や官憲による、いわゆる強制連行というものを確認するもの、確認できるものはありませんでした。
[11] 同 ちなみに、書面で回答に添付したこの両外相の共同発表の文書の中にも「性奴隷」という言葉は1カ所も見つからないのも事実であります。従って、今、ゾウ委員からご指摘を受けましたが、非常に残念なことに、ゾウ委員のご指摘は、いずれの点においても、日本政府として受け入れられるものでないだけではなくて、事実に反することを発言されたという風に、申し上げざるを、残念ながら、申し上げざるを得ないということを明